スノードロップ1 ~出会いを告げる花~
とりあえず、ちょこちょこっと書いてみました(・ω・)
もっとも面白いかどうかは別問題ですが('A`) とりあえず、見てもらえた人に楽しんでもらえればなぁと思います タイトルは「スノードロップ」です ---------------------------------------------------------------------------------- 「ふぅ…」 アルコールの混ざった吐息が夜の酒場の喧騒に飲まれる。 軽装鎧と長剣を携えながら酒をあおる。 一日の終わりに安酒をかっくらって疲れを癒すのが俺の日常だ。 もっとも今日はそれだけではないのだが。 「よーうリゼル、元気そうじゃねえか」 わざとらしく煙草の煙を俺に吹きかけながら、青髪のハイプリーストが声をかけてきて横の席に座った。 こいつの名前はジェイク、ノービス時代からの腐れ縁でありギルドのマスターもやっている。 「元気そうだじゃねぇ、遅いんだよお前は」 そう、今日はこいつと『商談』があったのだ。にもかかわらず1時間も遅れてきやがった。 「まぁ、そうカッカするなよ」 「無駄話をする気はない、さっさと報酬をいいやがれ」 やれやれといった感じで肩をすくめるジェイク。 「ったくせっかちだねぇこのロードナイト様は、そんなんじゃ女にもてねぇぞ?」 「るせーよ、この放蕩聖職者!酒、女、タバコ、お前ホントに聖職者か?」 「カカカ、違ぇねぇ。ま、神なんざはなっから信じちゃいねぇがれっきとした聖職者だぜ。それも高位のな。……おっと、そんな話はどうでもいいか、とりあえず今回は1M+経費ってことでどうだ?」 「まぁ、妥当なところだろう」 俺はロードナイトのリゼル、俗に言う『傭兵』をやっている。 そしてジェイクはギルドマスターを――それもGVレーサーギルドを――やっている。 腐れ縁ではあるものの、ギルドに所属はしていない俺をコイツはGVレーサーとして雇う。 それが『商談』 「はぁ~あ、お前さんが俺のギルドにいてくれりゃ、俺も高い金を払わずにすむんだがなぁ」 「お前の気持ちは分かるがな、俺は他人と馴れ合うのが好きじゃないんだよ」 俺はギルドに所属はしない。 ありたいていにいえば、あまり人が好きではないのだ。 一部の例外を除いて、俺は友人と呼べる親しい間柄の人間はほとんどいない。 「とりあえず、明日の夜7時ごろに俺のギルドの溜まり場に来てくれ。今回の作戦等々の会議もあるんでな」 「分かったよ、お前じゃあるまいし時間には遅れん」 「根に持つやつだな……。遅れたのは悪かったっての、ここの勘定してやるから許せって」 「ご馳走さん、ついでに飯追加していいか?」 「死ねちゃっかり者」 隣でくっそー、今月は懐が寂しいぜーとか言ってる馬鹿がいるが気にしないで俺は店を出た。 「月が綺麗だな」 ほろ酔いの体を冷たい夜風が包み、火照りを冷ましていく。 月光が町を照らし、夜ではあるものの灯りを使う必要はない。 通りに面した家々からは暖かな光が漏れ、家族団欒の声が帰路につこうとする俺の耳をなでてゆく。 俺はこの時間が好きだ。 昼の人々の喧騒に包まれたプロンテラではなく、夜の静寂に包まれたプロンテラが好きだ。 孤独な俺を優しく包み込んでくれるこの闇が。 ……やはり酔っているのか、わけのわからないことを考えてしまう。 「花はいかがですかー、綺麗な花はいかがですかー?」 そんな俺の前で、花売り商人の少女が夜中だというのに花を売っている。 近くに人影はいないというのに花など売れるのだろうか。 「そこの黒髪の騎士様、綺麗な花はいかがですか」 もしや俺のことなのだろうか。 周りを見渡してみるが近くに他に人はいない。 思わず自分を指差してしまう。 「そうですそうです、そこの貴方です。どうです、心に余裕を貴方に花を。きっと優しい気持ちになれますよ」 営業スマイルで花を勧めてくる少女。 「いや、俺は花は……」 「いえいえ、そうおっしゃらずに、こちらのスノードロップなどオススメですよ?」 そういって強引に花を押し付けてくる。 あまりに強く握っているのか、白い花の茎がこのままでは折れそうだ。 このまま買わなければ家までついてきそうな少女の押し売りに、俺は根負けしてしまった。 「わかった、わかったよ、買うから、――はぁー無駄な出費が……」 「無駄ではありません、花は心を豊かにしてくれます。きっと貴方の心を癒してくれるはずです!」 「はいはい、それだといいですねー」 早く少女から解放されたくて俺は花代の5zを渡し、足早に立ち去ろうとした。 その背中に花売り少女の嬉しそうな声がかかる。 「まいどあり~♪スノードロップの花言葉は『希望、慰め、楽しい予告』ですよ~!騎士さまに新しい出会いがあらんことを~」 勝手なことを言ってるなと思いながらそそくさと俺は立ち去った。 新しい出会い?そんなもの俺には必要ない。 俺には平穏な日常があればいい。 俺が望むのはそれだけだ。 花をどうするか迷いながら家の近くまできた俺の耳に、かすかに人の声が聞こえた。 「――たす――て、だれ――か」 消え入るような少女の声。 腐っても騎士の――人は嫌いだが人を助けるのは嫌いではない――俺はぎょっとしてあたりを見回した。 「誰だ!どこにいる!」 怒鳴る俺に確かな返答はない。が。 「こっ……ち、こっち、だよ」 かすかにではあるが聞こえる声を頼りに、俺は路地裏に駆け込んだ。 そして、俺は息を呑んでしまった。 そこにはぼろぼろの服を着た、少女が倒れていた。 だが、俺が驚いたのは少女が倒れていたからではなかった。 少女が――美しかったのだ。 少しつやが消えてはいたが腰元まで伸びた銀糸のような髪。 触れれば折れてしまいそうに華奢な体。 少しやつれてはいるものの整った顔立ち。 そして、ルビーのように紅く俺の心を鷲づかみにした双眼。 まだ肌寒い冬の路地裏で。 俺は少女と――アリアと出会った。 スノードロップ――花言葉は楽しい予告 web拍手を送る:続くかどうかはわからない
by moresiru
| 2007-01-26 17:36
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