惰性でイ㌔

スノードロップ2~保護~

side-少女


夜の街を私は駆け抜ける。
建物の前に置かれたランプの光が、素足を晒す。
靴をはいていないせいで、足はもう血がにじんでいるのか一歩を踏み出すたびに激痛が走る。
でも、止まるわけにはいかない。
どこに向かえばいいのかなんてわからない。
ただただ、私は走り続けている。
月の光だけが私の行く先を示してくれているようだ。
明かりすらまともにない裏路地の風景が流れていく。
怖い。怖い。心が悲鳴をあげる。
どうしよう。どうしよう。どうすればいい。
わからない。わからない。誰も教えてはくれない。

「助けて……!だれかっ!」

思わず助けを求めて叫んでしまう。
だが、それは状況を悪化させるだけ。

「いたぞ、こっちだ!」
「っ!!」

声を上げるということは人の注意をひきつけるもの。
その声は助けを求める相手だけでなく、『奴等』の注意をひきつける。
まして、いるかどうかもわからない相手よりも、『奴等』を呼び寄せる可能性のほうが高かった。
だめだ。いやだ!どうして私が?
答えを求めてもわからない。
だって私は、知らないのだから。
何もかもがわからない。
ただわかるのは逃げなければいけないということだけ。
つかまれば終わってしまう。
それだけをわかっていれば今はいい。
他の事は後から考えるだけだ。
そう、たとえば――

「きゃぁっ」

痛い、痛いよ。
考え事をしていたからか、私は道のでっぱりに足をつまずいて転んでしまった。
まずい、このままでは捕まってしまう。
立て、立て、立ち上がって!
でも体はいうことを聞かず。
体を震わせるのが精一杯というありさま。
弱りきってなおかつ空腹な体はもう動くことさえも拒む。

「動いて、動いてよ……!」

必死で両手に力を込めて体を起こす。
ぼろ衣のような服の袖から見える、白くやつれた腕に朱の色がにじんでいる。
血を見たからか痛みが増したように思え、思わず涙が頬を伝う。

「だれか助けて、だれか……」

震える声を搾り出す。
もう私には助けを呼ぶことしかできない。
だれか、だれか、だれか。
私を――助けて。

「誰だ!どこにいる!」

『奴等』とは違う声。
若い男の人の声。
もしかしたら、私を追いかけていた『奴等』の仲間なのかもしれない。
でも、もうそんなのはどうでもよかった。
だれでもいい、だれでもいい。
だから助けて。

「こっ……ち、こっち、だよ」

お願いだから届きますように。
私の声が届きますように。
そして、私を助けてください。
闇の中から救い上げてください。
お願いだから、お願いだから……。
ガシャガシャという足音とともに黒髪の騎士が目の前に現れたのを見て、私の意識は闇に包まれた。



side-リゼル


「おい、おいっしっかりしろ!」

少女が倒れこむように気絶したのをきっかけに、俺は我に返った。
脈は……大丈夫そうだな。
だが衰弱が激しいように見える。
この寒空の下ではいつ体調か悪化するかわからない。
あまりのぼろぼろさのため服の機能を充分に満たしていない服をきた体に、俺は背中のマントをはずし巻きつける。
これで少しはマシになるだろう。
俺は少女を抱え家に連れて帰ろうと――

「待ってくれるかねぇ、騎士様」

道をふさぎつつ、三人の悪漢がこちらを見下したような目を向け、声をかけてくる。

「誰だ、お前は。悪いが、貴様らのような輩を相手にしている暇も時間もないんでな、そこを通してもらおうか」
「ぶひゃひゃひゃひゃ、バカいっちゃなんねぇ、通してほしけりゃ――わかんだろ?」

リーダー格らしい、赤髪逆毛の悪漢が下卑た笑い声をあげる。
なんとなく予想はしていた。
おそらくこいつ等は少女に対して危害を加えようとしていたのだろう。
少女のやつれ具合や、悲鳴。
おそらくこいつ等は――

「暴行、いや人攫い……といったところか」
「ぴんぽーん。正解だよ騎士さま。もっとも景品もなーんにもないがねぇ。とりあえず、うちの商品帰してくれるかねぇ?」
「断るといえば?」
「ぶひゃひゃひゃひゃ、やれっお前ら――ってあれ?」

少女を左手で抱き上げもう片方の腕で両手剣を一閃する。
銀の軌跡はリーダー格の男の片腕に吸い込まれ、赤いしぶきを撒き散らす。
歴戦の戦士であるリゼルの剣筋によって繰り出される、名工の鍛え上げた剣は正確に男の右腕を両断した。

「ぎゃああああ、腕が、腕が、腕が、俺の腕があああああ、痛ぇ痛ぇ痛ぇ」

相手の出方を待つ気などさらさらない。
俺は泣き叫ぶ男の鳩尾を蹴り上げ、状況を理解できていない残りの二人の顎を剣のつばで殴り昏倒させる。

「俺は貴様等のような人種が嫌いでな、殺されたくなければ二度と目の前に現れるな。もっとも聞こえていればの話だがな」

このままほおっておけば男たちは死ぬかもしれない。
だが俺にとってそんなことはどうでもいいことだ。
少女を見る限り急いだほうがよさそうなのはわかった。
俺は少女を両手で抱えなおし、帰路を急いだ。





web拍手を送る:なかなか上手くかけないなぁ

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by moresiru | 2007-02-06 16:28 | いろんな小説
<< いやーばたばたしてました 目標達成ならず >>



ROや日々の日記を不定期で書くかもしれない。RO「Lisa」鯖在住。モンクは封印しますた、苦情は受け付けない! ケミがメイン、でも名前がエロイ。とりあえずツンデレマダァー?
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